成年後見

ご自分の財産を管理する場合や、物を買うなどの取引行為をする場合、それらが自分にとって利益なのか不利益なのかを判断できないと、悪い人にだまされたりしてしまいます。

このような利益・不利益を判断することのできる能力を「判断能力」又は「事理弁識能力(じりべんしきのうりょく)」などといいます。

そして、この判断能力が不十分な方を保護し、その方の権利を守るために選任されるのが「後見人」「保佐人」「補助人」という制度です。

 

後見人

常に事理弁識能力を欠いている方に対して選任されます。
一部の日常行為を除いて、本人が行った法律行為(契約など)を取消すことができます。
また、後見人は本人を代理して法律行為を行うことができます。

保佐人

事理弁識能力が著しく不十分な方に対して選任されます。
保佐人は、本人が不動産を処分したり、借金したりなどの一定の場合に、その行為に対して「同意」をすることができ、この「同意」がない行為について取消すことができます。
また、保佐人は一定の範囲で本人を代理することができる場合があります。

補助人

事理弁識能力が不十分な方に対して選任されます。
保佐人と同じく「同意権」がありますが、同意権の範囲は保佐人よりも狭いです。
また、一定の範囲で本人を代理することができる場合があります。

上記の制度は、事理弁識能力が不十分な成人の方に対して権利の保護を図る制度ですので「成年後見制度」といわれています。

これに対し、満20歳未満の未成年者については、原則として親(親権者)が代理したり取消権を行使してその権利の保護をすることとなります(親権者がいない場合などには「未成年後見人」が本人の権利を保護します)。

後見人等の選任方法

既に判断能力が低下した方について後見人、保佐人又は補助人を選任したい場合は、家庭裁判所に申立てをします。この際、後見人の候補者を予定しておきます。

任意後見

まだ判断能力が低下していない状態でも、将来ご自分の判断能力が低下してしまった場合に備えて、あらかじめ後見人となるべき人と契約しておくことができま す。これを「任意後見契約」といいます。具体的には、その後見人となるべき人と「公正証書」によって「任意後見契約」をし、後日判断能力が低下し、必要が あると判断された時点で正式に後見人となることとなります。